アメリカのギタリスト、クリストファー・パークニングの演奏を検索しているうちに面白い映像に遭遇したので紹介します。1987年にニューヨーク市立劇場:でプラシド・ドミンゴと協演したライブ。これはニューヨーク・シティ・オペラ管を使ったドミンゴのコンサートにパークニングがゲストとして登場したということのようです。内容はドミンゴお得意のスペインやメキシコの音楽を中心としており、最初にスペインのモレノ・トロバの「ファンダンゴ」とフラメンコ歌謡をパークニングの伴奏で歌っています。これが巧いというか、素晴らしい。トロバの「ファンダンゴ」は元々ギター独奏曲。トロバの友人であったセゴビアが最初にアカデミックな作曲家に依頼して生まれた、言わば近代ギター音楽の幕開けとも言える有名作品で、それをサルスエラ(カタルーニャの民謡オペラ)調にアレンジしたものだと思います。またパークニングのフラメンコ流のテクニックが2曲目に聴けるのはお宝。その2曲の後にパークニングの独奏による「アランフェス」第2楽章ショート・バージョンがあり、ここでパークニングはお役御免。
ドミンゴが今度はオーケストラをバックにセレーノの「ホタ」というやはりフラメンコ調の作品を聴かせます。そしてハイライトはその後のドミンゴがピアノを弾き歌うメキシコの作曲家ルイスの「ディスピエルタ」(19:20~)。恋人の寝る窓辺で外から「目を覚ましておくれ」と誘いかけるセレナードですがこれは凄いです。ドミンゴのピアノの腕前にも感心しますが、マイクなしの弾き語りなど滅多にお目に掛かるものではありませんね。この日は声も絶好調と言えるのではないでしょうか。残念ながらその後の「西部の娘」のアリアの途中で映像は終わってしまいますが、久々に楽しめる動画に出会えた思いがいたします。
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クラシックギター
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