歴史的名演。
1958年録音のヘルマン・シェルヘン指揮によるモーツァルト「レクイエム」。
かなりエキセントリックで個性的なベートーヴェンやマーラー演奏のイメージが
強いシェルヘンですが、この演奏はあくまで真摯でじっくりと
深い感動を呼ぶ名演。冒頭の遅さはシェルヘンらしいとも言えますが、
あくまで歩みが重いだけで音楽的弛緩を呼ぶものではありません。
ベームやチェリビダッケの遅さとは本質的に違う。
内容するドラマの大きさを感じさせる凄みがあります。
重量感がありながら明晰なステレオ録音であることも素晴らしい。
ソリスト・合唱もそんなシェルヘンに十分寄り添った美しい歌唱です。
セナ・ユリナッチ(S),ルクレティア・ウェスト(A),ハンス・レーフラー(T),フレデリック・ギュトリー(Bs)
ヘルマン・シェルヘン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン・アカデミー合唱団(G.トイリンク指揮)
なお、当時のウェストミンスター盤に表記されている「
ウィーン国立歌劇場管弦楽団」はいわゆるウィーン・フィルではなく、
ウィーン響、またはフォルクスオパーのメンバーが
参加したものがほとんどであったことを記しておきます。こ
の演奏に関しては当時のシェルヘンとの関係性からウィーン響との演奏であったと考えております。
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