アルヴィド・ヤンソンスによるモーツァルト「レクイエム」

アルヴィド・ヤンソンスによるモーツァルト「レクイエム」

知られざる名演。マリスの父、アルヴィド・ヤンソンスによるモーツァルト「レクイエム」。1976年5月5日にモスクワで放送収録されたもので、リトアニア国立放送響と合唱団、リシチアン・ファミリー4重唱団。どういう経緯でラトビアのヤンソンスが隣国リトアニアのメンバーとモスクワで演奏することになったかは定かでないのですが、結果として凄い記録が残ることになりました。合唱を専門とする者にとってこの作品には特別な価値を認めるものですが、いざ演奏するとなると直面する難題、「キリエ」の二重フーガの扱いや特にモーツァルトの絶筆「涙の日」の深い悲しみの表現、音楽的に弱くなると言われる後半のジュスマイヤ補筆部分の響きや流れにおいて、この演奏による回答に言葉を失うのではないでしょうか。それはリトアニアという国(当時はもちろんソ連邦に吸収されていましたが)の持つ伝統的な音楽力、恐るべき合唱の実力があって可能となるものですが、父ヤンソンスの宗教音楽家としての卓越した見識で実現した奇跡的演奏なのです。敢えて言えば無名のソリスト達には若干の不安を感じるのが唯一の欠点でしょう。それで

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