歴史的録音。
合唱指揮者として有名なアメリカのロバート・ショウ指揮によるベートーヴェン「交響曲第9番“合唱”」。
“合唱の神様”とまで称され、トスカニーニやセルが最も信頼した合唱指揮者と言われたショウですが、
自らもアトランタ交響楽団の音楽監督を20年以上務め、併設の合唱団ともどもアメリカのメジャー楽団に育て上げました。
その彼が音楽監督を退任した1988年、最後のステージとして振った「第九」のライブ録音。以降彼は1999年に亡くなるまで同団の桂冠名誉指揮者であり続けました。
ショウはアトランタ響・合唱団と多くの合唱付き作品を録音に残しましたが、
純粋な交響曲や管弦楽曲の録音は少なく、
オーケストラ指揮者としての実力を示すものとして貴重な記録。
演奏は中庸ながら実に堂々としたもので、ショウとアトランタ響の絆の強さ、
確かさを十全に示したものと言えましょう。
特に第3楽章のふくよかな歌わせ方はさすがに歌の世界の第一人者として認められたショウならでは。
オーケストラの音色の美しさも素晴らしい。
そして終楽章、ウィリアム・ストーンの立派なバリトンから合唱が加わると期待通りショウの独壇場となります。
古くはトスカニーニ、そしてセルの名盤「第九」の合唱指揮を通して
培われた彼の人生を全て叩きつけたかのような感動的なフィナーレ。
終了後の彼の退任を惜しむスタンディング・オーベイションは数十分に渡って続いたそうです。
「第九」のライブとしては録音の優秀さも素晴らしいもの。
ベニタ・ヴァレンテ – Benita Valente (ソプラノ)
ジャニス・テイラー – Janice Taylor (メゾ・ソプラノ)
リチャード・リーチ – Richard Leech (テノール)
ウィリアム・ストーン – William Stone (バリトン)
アトランタ交響合唱団 – Atlanta Symphony Orchestra Chorus
アトランタ交響楽団 – Atlanta Symphony Orchestra
ロバート・ショウ – Robert Shaw (指揮)
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