ギタリストの山下和仁氏と人気作曲家・大島ミチルさんは共に1961年3月、長崎生まれであることを




Isao Hayakawa

ギタリストの山下和仁氏と人気作曲家・大島ミチルさんは共に1961年3月、長崎生まれであることを最近知った。今年還暦。天才ギタリストと言われた山下氏が16歳で国際ギターコンクールを総なめにした年、大島さんも国際エレクトーン・フェスティバルで史上最年少優勝している。同郷の天才同士おそらくそれ以前から交流はあったのだろう。大島さんがまだ音楽大学在学中に山下氏のために2つのギター二重奏編曲作品を作っていた。一つはヴィヴァルディの「四季」、もう一つはモーツァルトの「交響曲第40番」。当時大島作品はまだ合唱曲「御誦(おらしょ)」くらいしかなかった駆け出し時代だったが、「四季」の方は1985年、フュージョンの大物ギタリスト、ラリー・コリエルと山下氏によって演奏され、それはライブ映像となって評判を呼んだ。しかしモーツァルトの方は商品化されることなく、お蔵入りしてしまった。ところがその演奏音源が存在したのだ。1985年5月のスタジオ録音で、「四季」と共にNHK・FMで放送されたもの。ただしギター用に「ト短調」が「イ短調」に移調されている。「四季」の方はライブとは別音源で、こちらはデジタル収録されているので音場はよりリアルになっている。聴くとライブでも感じたが、完ぺきな山下氏に比べるとコリエルのギターは窮屈そうだ。これは編曲そのものがクラシック二重奏向けに書かれているので、ピックで弾くコリエルが楽譜通りに弾き切れない部分が有り、それを持ち前のアレンジ力で補っているからだろう。それでもできるだけ楽譜に忠実に弾こうと努力しているのがほほえましい。スタジオ録音とはいえ、恐らくどちらも一発どり。従ってコリエルの弾き損ないも修正されずに収録されているが、それが却って緊張感があって面白いとも言える。ただ擁護するとコリエルは本来楽譜から離れた自由なインプロヴィゼーションが本領なので、間に収録されているソロの「ボレロ」のようなフリージャズ調では素晴らしい霊感を聴かせてくれているのだ。ともあれ若き日の山下氏と大島さんの邂逅がこのような形で確認できることは両者のファンにとってありがたいことだ。
クラシックギター
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