知られざる名演~アバドのドイツ・レクイエム。
1989年、アバドがウィーン国立歌劇場音楽監督時代に演奏したライブ録音。
オーケストラはもちろんウィーン・フィルで、国立歌劇場合唱団、カリタ・マッティラとロベルト・ホルがソリスト。
NHK・FMからのチェック音源。1997年のベルリン・フィル時代の演奏がアバドは有名で、
大きく印象が違うわけではないが、この演奏の合唱はやはりすごい。
精緻さではベルリン・フィルのエリクソンの合唱団にかなわないのは事実として、
ブラームスの持つ骨太な重厚感の表現や、フーガの畳みかける迫力などには一日の長があるように聞こえます。
そして素晴らしいのはバス・バリトンのロベルト・ホル。
深い低音から力強い中高音まで自然な発声と息の長さ、表現力などまさに理想とすべき歌唱。
マッティラも気持ちが入っていて素晴らしい。
個人的にはアバドが最も輝いていたのはこのウィーン時代と思っているので、このライブが聴けるのは大変うれしいことなのです。